太陽光発電は、決して安い買い物ではないため、ご家庭に導入するのをためらってしまう方も多いと思います。
実際に、太陽光発電の訪問販売をする会社の営業の方に勧められるままに導入し、元が取れずに後悔した声もたくさんあります。
しかし、太陽光発電はしっかりと基本を理解し正しく運用すれば、導入費用を回収でき、さらに大きな利益を得ることができるでしょう。
そのためにも、まずは太陽光発電のメリットやデメリットについて正しい知識を知っておかなければいけません。
この記事では、太陽光発電についての基礎的な知識を解説するので、ぜひこれからの参考にしてみてくださいね。
Contents
太陽光発電のデメリット
では、さっそく太陽光発電のデメリットについて解説します。
設置費用が高額になる
太陽光発電システムの設置費用は、他の発電方法に比べて高額です。
特に、大規模なシステムを導入する場合は、初期費用がかかります。
しかし、政府の補助金や税制優遇措置などがあるため、最近では設置費用の低減に向けた取り組みが進んでいます。
メンテナンスが必要になる
太陽光発電システムは、定期的なメンテナンスが必要です。
パネルの汚れや破損、電気機器の故障、配線の断線など、さまざまな問題が発生する可能性があります。
適切なメンテナンスを怠ると、発電量が低下したり、システム全体が故障する危険につながるので注意しましょう。
天候によって発電量が変動する
太陽光発電システムは、直射日光が当たることで発電するため、天候によって発電量が左右されます。
基本的に曇りや雨の日は、発電量が低下すると覚えておきましょう。
また、真夏の高温時にも、パネルの発電効率が低下するので注意しましょう。
太陽光発電の発電量が最も多くなるのは、気温が25°前後になります。
屋根に負荷がかかる
太陽光パネルは、一般的には1枚あたり15kgほどの重量があり、屋根の強度によっては、パネルの設置ができない場合があります。
また、長期間の使用によってパネルの重量が屋根に負荷をかけることがあり、屋根の劣化を早めることがあるので注意しましょう。
屋根によっては不向き
太陽光発電システムは、設置場所によって発電効率が異なります。
南向きの屋根がある家が最適ですが、北向きの場合は太陽光発電に不向きであるとされています。
また、周囲の建物や樹木によって影響を受けることもあるので注意しましょう。
ただし、日陰でも発電効率が下がりにくいメーカーもあるので、見積もりの段階で調べてもらうのがオススメです。
反射光でトラブルになる可能性がある
太陽光がパネルに反射して周囲に光がまぶしくなることがあります。
この現象は反射光トラブルと呼ばれ、近隣住民から苦情が出ることがあります。
このため、施工業者にどれくらいの反射光が予想されるか、しっかりとシミュレーションしてもらうのがいいでしょう。
出力制御が起きる可能性がある
特定の地域では、出力制御が実施される可能性がある場合があります。
出力制御とは、太陽光発電が増加して電力供給が需要を上回った場合に、電力会社が太陽光発電設備の発電量を制御することです。
つまり、出力制御が発生すると、太陽光発電が発電しても売れない可能性があります。
北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力のような地域では、10kW未満の住宅用太陽光発電についても出力制御が行われる可能性があるとされています。
しかし、10kW未満の太陽光発電については、出力制御が対象になることはほとんどなく、特に心配する必要はありません。
出力制御は主に大規模な太陽光発電に対して行われるためです。
詐欺・騙されるリスクがある
太陽光発電システムの導入には、詐欺やトラブルがあることが報告されています。
特に、高額な設置費用や高利回りの投資などをうたった業者には注意が必要です。
信頼できる業者の選定や、契約前に十分に検討するようにしましょう。
施工不良のリスクがある
太陽光発電システムの設置には、屋根への穴あけや配線などが必要です。
そのため、施工不良による雨漏りや屋根の劣化などのトラブルが発生する可能性があります。信頼できる業者の選定や施工前に点検を受けることが重要です。
パワーコンディショナーの設置場所が必要
太陽光発電システムには、発電した電力を交流電力に変換するためのパワーコンディショナーが必要です。
このため、屋内や室外に設置場所を確保する必要があります。
また、設置場所によっては、パワーコンディショナーの設置スペースが不足することがあります。
太陽光発電のメリット
では、次に太陽光発電のメリットについて紹介します。
電気代が削減できる
太陽光発電システムを導入することで、自宅で使用する電力の一部を自給自足できるため、電気代を大幅に削減できます。
特に最近では、電力会社による電気代の値上げが激しいため、削減効果はより大きなものになるでしょう。
また、家庭で使用する電気の量によっては、余剰分を売電して収入を得ることもできます。
売電収入が得られる
太陽光発電のFIT制度を活用すれば、発電した電気により売電収入を得られるようになります。
FIT制度は、国が脱炭素化社会に向けて太陽光発電を普及させるために定めた制度で、太陽光パネルで発電した電気をあらかじめ決められた価格で一定期間の買取を保証してくれるものです。
ただ、FIT制度による売電収入は年々減少傾向にあるため、始める前に必ず確認するようにしましょう。
停電しても電気が使える
太陽光発電システムには、蓄電池を併用することで、停電時でも電気を使用することができます。
蓄電池に余剰分の電力を貯めることで、夜間や天候が悪い時でも、自家消費できる電力を確保することができます。
他の投資商品と比べて収入が安定している
太陽光発電システムは、太陽光があれば発電するため、他の投資商品と比べて収入が安定しています。
また、売電価格もFIT制度により一定価格で買取をしてもらえるので、基本的には長期的に見て安定していると言えるでしょう。
寿命が長い
太陽光発電は可動部がないため、長期間の使用に耐えることができます。
例えば、パワーコンディショナーは約15年で交換が必要とされますが、パネルは約30年程度の寿命が期待されています。
さらに、太陽光発電パネルの出力保証期間が25年というのも、その寿命の長さを示す重要な指標です。
メーカーも保証期間内に壊れないことを想定しているため、太陽光発電の寿命は25年以上にわたることが期待されます。
オール電化（エコキュート、IH）と相性が良い
太陽光発電は、一般の家庭でも十分な経済メリットがあるものの、エコキュートやIHなどのオール電化を導入している場合は、より有利になることがあります。
これは、オール電化住宅の場合、電気料金のプランが異なるためです。
一般的なオール電化では、一日中同じ単価が適用されますが、オール電化住宅では、深夜の電気代が安く、日中が高い電気料金のプランとなります。
これは、オール電化に含まれる電気給湯機（エコキュート）が夜間の安い時間帯の電気を使ってお湯を沸かし、日中に使うため、一日の中で料金を変動させたほうがお得だからです。
ただし、日中の電気使用量が多い場合、電気料金が割高になってしまうというデメリットがあります。
しかし、太陽光発電を導入すると、日中の電気代が高い時間帯は、太陽光発電でつくった電気を使うことができるため、割高な電気代を払わずに済むというメリットがあります。
したがって、オール電化住宅と太陽光発電は相性がよく、より経済的に使用できると言えるでしょう。
蓄電池と相性が良い
太陽光発電はオール電化だけでなく、蓄電池とも相性が良いことが知られています。
太陽光発電と蓄電池の相性が良い理由には、以下の3つがあります。
まず1つ目は、災害時に太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めることができることです。このため、電力会社からの電気供給が途絶えてしまっても、太陽光発電から得られた電気を使うことができます。
2つ目は、電気料金プランの相性が良いことです。オール電化同様、蓄電池を導入すると、深夜帯が割安な代わりに日中が割高な電気料金に切り替えるのが一般的です。ただ、太陽光発電を利用することで、日中の高い電気代を払わずに済むというメリットがあります。これは、太陽光発電がつくった電気をまずは利用し、不足分を蓄電池が補うことで、電気代を節約できるためです。
そして3つ目は、固定価格買取期間終了後に自家消費割合を増やすことができることです。太陽光発電の固定価格買取期間が終了し、売電金額が下がってしまっても、蓄電池があれば電気を貯め、自家消費にまわすことができます。
環境にやさしい
太陽光発電は、環境に優しく、二酸化炭素(CO2)や大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)などを排出しない、クリーンなエネルギーです。
太陽光パネルを導入するだけで、環境問題に貢献することができます。加えて、ESG投資が注目されている今、企業が太陽光発電を導入することで、社会的評価を高めることができると期待されています。
ESG投資は、業績や財務状況だけでなく、「環境問題への取り組み」、「地域・社会への貢献度」、「従業員の働き方への配慮」など、社会・企業統治面に注力しているかどうかを重視する投資方法です。
政府だけでなく、企業の取り組みも注目される脱炭素化の時代において、ESG投資をしているかどうかは企業ブランディングにも大きな影響を与えると予想されます。
まとめ
太陽光発電は、いくつかのデメリットがありますが、初期費用を負担することで、持続的に安定した収益を得ることができる、優れた投資商品です。
さらに、地球温暖化や大気汚染といった環境問題に対する関心が高まる中、太陽光発電はますます注目を集めています。
節約や投資目的だけでなく、環境保護にも貢献することができます。自宅や企業で導入を検討してみることをお勧めします。
