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太陽光発電

太陽光パネルが問題になる理由を解説

太陽光パネルを設置することで、電気代を節約し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出量を減らすことができます。

しかし、適切な廃棄方法を怠ると、太陽光パネルに含まれる有害物質が漏出し、人体や生態系に悪影響を及ぼす危険性があります。

この記事では、太陽光パネルと環境破壊の関係や太陽光パネルに関連する問題について詳しく説明します。

太陽光パネルが問題になる理由

太陽光パネルは、「脱炭素」や「2050年カーボンニュートラルの実現」に欠かせない製品の一つであり、クリーンなエネルギーを生み出すことで注目されています。

しかしながら、環境に関する懸念事項も報告されており、問題点が指摘されています。

太陽光パネルには、以下のような問題点があり、環境破壊の危険性があるとされています。

では、一つひとつ解説しますね。

太陽光パネルの不法投棄

太陽光パネルは、一度設置すると取り外さない製品ではありますが、家の建て替えや屋根の葺き替えなどの理由で太陽光パネルを取り外す場合があります。

外した太陽光パネルは再び設置するのですが、なかには設置せずに捨てる人がいるのです。

もちろん正規の投棄方法であれば問題無いのですが、不法投棄する人がいるため問題となっています。

家庭用太陽発電システム(総発電量10kW未満)よりも産業用太陽光発電システム(総発電量10kW以上)のほうが不法投棄が多いです。

産業用太陽光発電システムのほうが家庭用太陽光発電システムよりも太陽光パネルの設置枚数も多く面積も広くなるため維持費が掛かります。

産業用太陽光発電システムの売電収入と維持費を見比べて維持費のほうが高くなった時に設置場所から撤去せずにそのまま放置する事案が発生しています。

家庭用太陽光発電システムにおいては、廃品回収業者がリサイクル料を浮かせるために、ごみ処理場に持っていかず山中に不法投棄すする事案も報告されています。

不法投棄は、設置していた人にも罰則が及ぶ可能性があるためもし太陽光パネルを廃棄する場合は、住んでいる地域の役所に相談して信頼できる業者に廃棄を依頼しましょう。

有害物質が発生する恐れ

太陽光パネルには、しばしば鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質が含まれます。

太陽光パネルが割れたまま放置されると、有害物質が漏れ出し、水質汚染や土壌汚染を引き起こす可能性があります。

そのため、太陽光パネルが破損した場合は、自己処理を試みるのではなく、まず販売店に連絡して対策を考えなければいけません。

もし、太陽光パネルが大量に破損して有害物質が漏出する恐れがある場合は、役所に連絡して指示を仰ぎましょう。

悪徳業者の存在

多くの太陽光パネル販売業者は、顧客のニーズを最大限考慮し、最適な太陽光パネルを提案しています。

しかし、中には「利益優先の業者」と呼ばれる悪徳業者も存在し、顧客の要望を無視して自分たちが儲かるような商談を行う場合があるので注意しましょう。

契約を締結しないことが最善ですが、もし契約してしまった場合は、クーリングオフ制度を利用して契約を解除することができます。

また、しつこく訪問してくる場合は警察に連絡するようにしましょう。

心配な場合は消費者センターに相談してみるのをオススメします。

メガソーラーによる森林伐採

「メガソーラー」とは、総発電量が1,000kW以上の大規模な太陽光発電システムのことを指します。

日本は、国土面積に対する太陽光パネルの設置率が世界1位とされています。そのため、平地には太陽光パネルを設置する場所が不足しており、設置場所は山間部へ移っています。

メガソーラー太陽光発電システム(発電量1,000kW)を設置する場合に必要な面積は、1ha(ヘクタール)~2ha程度とされています。これは、野球場やサッカー場の面積と同じ大きさもしくはそれ以上の広さです。

しかし、日本熊協会のデータによれば、2022年5月24日までに約23,000ha(太陽光22,253ha、風力747ha)の森林が伐採されてメガ太陽光発電システムやメガ風力発電システムが設置されています。

これによって生態系が崩れ、希少動物たちが絶滅の危機に瀕している事実があるのです。

土砂崩れ

日本各地でメガソーラ発電システムの設置に伴い、多数の森林伐採が行われたことで土砂崩れが発生しています。

森林伐採により山自身の保水力や抵抗力が低下し、近年の大雨が降り続くと土砂崩れが起こり、山の麓に住む人々の住宅まで押し流される事態が発生しています。

メガソーラーによる太陽光発電システムは、クリーンなエネルギーを生み出すと期待されていますが、自然環境を破壊するリスクもあり、共存がまだまだ困難な状況にあります。

太陽光パネルを撤去するときの方法

自宅の太陽光パネルを撤去する場合には、どのように処分すればいいのか。

このとき、自身で処理することは絶対にしないようにしましょう。

なぜなら、太陽光パネルは「産業廃棄物」に分類されるからです。

太陽光パネルには、有害物質が含まれているため、通常の廃棄方法では処理できません。

また、太陽光パネルが壊れた場合には感電の危険があるため、素人が修理することは危険です。

太陽光パネルは発電中である可能性があり、触れると感電する危険性があるので、取り扱いには注意が必要です。

太陽光パネルの処分については、法律上、設置業者(販売店)、ハウスメーカー、工務店が担当しています。

ただし、太陽光パネルが完全に屋根から落ちてしまった場合には、産業廃棄物ではなく、可燃ゴミや粗大ゴミと同様に扱われる場合があります。

そのため、処分方法については、お住まいの地域の廃棄物処理課(自治体によって名称が異なる)に相談して指示を仰いでください。

太陽光パネルの大量廃棄時代が到来する可能性

太陽光パネルは、電極やシリコンを複数層に重ねて接着されており、分解してリサイクルすることができないため、処分場に廃棄されています。

このため、産業廃棄物を処理する最終処分場が混雑しており、2023年1月時点で太陽光パネルを処理する施設は十分に整っていません。

2021年2月に環境省が発表した「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」によると、太陽光パネルの大量廃棄がピークを迎えるのは2030年代後半で、年間で50万トンから80万トンの廃棄物が発生する見込みです。

太陽光パネルの問題を解決するにはどうすればいいか

ここまで、太陽光パネルの問題について、ネガティブな情報ばかり紹介してきました。

しかし、問題となるのは基本的に、業者と利用者のモラルが原因であり、太陽光発電自体は脱炭素化社会を実現する有効な手段であります。

ですから、これから解説する方法を用いることで、太陽光発電の問題をクリアできるようになるので、ぜひ参考にしてください。

有害物質を正しい方法で処理する

太陽光パネルには、カドミウムや鉛、セレンなど、人体に有害な物質が含まれているため、それらを含む産業廃棄物として処理する必要があります。

従って、太陽光パネルを撤去・廃棄する際には、専門的な知識と技術が必要な業者に依頼しなければいけません。

もし専門的な知識や技術が不足している場合、有害物質が漏出して土壌汚染や水質汚染を引き起こし、生態系全体を破壊することがあり得ます。

そのため、太陽光パネルを処理する場合は、自己判断せずに専門知識を持った業者に依頼することが重要です。

太陽光発電業者が取り組みを改善する

多くの場合、太陽光パネルの問題は、利用者ではなく、販売業者、解体業者、そして産業廃棄物処理業者の企業モラルによるものです。

太陽光パネル処理業者は、処理費用を節約するために不法投棄を行うことがあり、この方法で利益を得ることができます。

したがって、各業者は「太陽光パネルの不法投棄によって何が起こるか」や、「不法投棄をしている自分たちがどのように見えるか」といったことを考慮する必要があります。

私たちは、処理業者が国や地方自治体から認可を受けているかどうかを確認することが重要です。

国や地方自治体から認可を受けた業者は、認可番号を持っていますので、調査した上でホームページなどで業者を確認してから依頼するようにしましょう。

リユース・リサイクルを活用する

日本は、今後、太陽光パネルの大量廃棄時代を迎えるとされています。

現在、年間で約4,400トンの太陽光パネルが廃棄されており、その内約3,400トンがリユース(再利用)され、約1,000トンがリサイクル(再生利用)されていると推計されています。

リユースされた太陽光パネルは、発電効率は経年劣化によって下がりますが、基本機能が衰えていないため、産業太陽光発電システムとして再利用されるケースが多いです。

政府は、2030年代後半に太陽光パネルの大量廃棄が予想されることから、2022(令和4)年5月から使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務化する検討を始めました。

そして、2024(令和6)年度の国会に提出して法律化を目指しています。

太陽光パネルは、分解するとアルミ、ガラス、バックシートの3つの部品に分けることができます。

そのうち、太陽光パネルの7割はガラスでできており、二次製品化(発泡ガラスや防草材)などに再利用する技術開発も進んでいます。

今後は法整備や技術開発に注目が必要です。

まとめ

現在、世界中で注目を集めている太陽光発電システムは、一般家庭や産業用途において電気代の節約や二酸化炭素の削減というメリットがあります。

しかし、有害物質が含まれることで人体や生態系に悪影響を与える危険性や、太陽光パネルの設置による森林伐採や土砂崩れなどの問題も存在します。

さらに、日本では今後、太陽光パネルの大量廃棄が予想されることから、リユースやリサイクルに関する法律化が進んでいます。

ただし、適切な廃棄方法や設置場所を考慮すれば、太陽光パネルは非常にエコな素材であることに変わりはありません。